「平屋と二階建て、どっちが最適か知りたい」
「何を基準に選んだらいいか知りたい」
「家づくりで失敗したくない」
このような悩みはありませんか?
二階建てがファミリー層の住宅の主流となっている一方で、近年は平家の人気も高まってきています。どちらが自分の暮らしに合っているのか、選択に迷う人も多いでしょう。
この記事では、次の内容について詳しく解説します。
- 平屋と二階建てのメリット・デメリット8選
- 比較すべき11のチェックリスト
- それぞれのおすすめケース5選
- 快適な間取り例2選
自分の暮らしや予算に合った家をつくるには、必要な情報を集めたうえで、じっくり比較・検討することが重要です。
この記事を参考に、比較すべき点をチェックして、後悔のない家づくりを実現させましょう。
平屋と二階建てはどっちがいい?着工数を比較
国土交通省の調査によると、新築着工数は二階建てのほうが圧倒的に多いです。
一方で平屋は、二階建ての約5分の1ではあるものの、年々増加しています。
参考:国土交通省 建築着工統計調査
平屋の新築着工数は、2023年までの9年間で約1.7倍に増加し、住宅全体に占める割合も約2倍に増えています。
二階建ては住宅全体の7割以上を占め、主流として定着していますが、最近では平屋に人気が集まっていることがわかります。
平屋と二階建てはどっちがいい?メリット・デメリットを解説
平屋と二階建て、どちらかを選ぶには「何を優先させたいのか」を明確にすることが重要です。
まず、平屋と二階建てのメリット・デメリットを見てみましょう。
平屋のメリット・デメリット
平屋のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
階段を上り下りする負担がない 動線が短く効率化できる 家族とコミュニケーションをとりやすい 地震や強風で揺れにくい | 広い土地が必要 日当たりや風通しが悪い場合もある プライバシーを確保しにくい 空き巣の侵入リスクが高い |
※床面積・工法などの要件は同じで、二階建てと比較した場合
平屋は階段を上り下りする負担がなく、動線が短いので、ムダな移動が発生しにくいのがメリットです。
一方で、二階建てより広い土地を購入する必要があり、立地によっては日当たりや風通しを確保するのが難しいなどのデメリットがあります。
二階建てのメリット・デメリット
二階建てのメリットとデメリットです。
メリット | デメリット |
狭小地でも居住空間にゆとりをもてる 日当たりを確保しやすい プライバシーを守れる 水害のとき二階に避難できる | 階段の移動に負担がかかる 動線が複雑になる メンテナンス費用が高い 地震や強風で揺れやすい |
※床面積・工法などの要件は同じで、二階建てと比較した場合
二階建ては狭小地でも居住空間にゆとりをもちやすく、プライバシーを確保しやすい点がメリットです。
階段の移動が負担になったり、複雑な動線がストレスになったりするケースもあります。
平屋と二階建てはどっちがいい?11のチェックリストで徹底比較
平屋と二階建てを比較するときは、以下のとおり「費用」「快適性」「安全性」に分類した11個の項目をチェックしましょう。
費用 | 1.建築費用 2.土地の購入費用 3.税金 4.メンテナンス費用 |
快適性 | 5.効率的な動線のつくりやすさ 6.日当たり・風通しのよさ 7.間取りの自由度の高さ 8.プライバシーの保ちやすさ |
安全性 | 9.空き巣の侵入リスク 10.災害による影響 11.転倒・転落のリスク |
ひとつずつ見ていきます。
1.費用で比較
次の費用を比較しましょう。
- 建築費用
- 土地の購入費用
- 税金
- メンテナンス費用
ここでは延床面積を含め、さまざまな要件が同じケースとしたうえで一般的な比較をします。
費用は、延床面積や工法などによって変動するため、一概に「どっちが安い」とはいえません。
実際に検討する際は、詳細な見積もりを依頼して慎重に比較しましょう。
建築費用
延床面積(※)が同じ場合、建築にかかる費用は平屋のほうが割高です。
※延床面積:全階層の床面積の合計
平屋 | 二階建て |
総工費の中でもコストが高い基礎や屋根の面積が大きい ▶坪単価が割高 | 2階部分や階段の建築費用がかかる ▶総工費は平屋より高い |
総工費自体は、二階建てのほうが高い傾向にあります。
ただ、平屋は総工費の中でも建築費用がかかる基礎や屋根の面積が大きいため、坪単価が割高です。
土地の購入費用
延床面積が同じ場合、平屋は二階建ての2倍の広さが必要で、購入費も高くなります。
平屋 | 二階建て |
二階建ての2倍の広さが必要 ▶土地購入費が高い | 平屋の半分の土地で足りる ▶土地購入費を抑えられる |
必要な面積は、土地に設置されている建ぺい率(※)も考慮して算出しましょう。
たとえば、建ぺい率50%の土地に、延床面積30坪の家を建てるなら、平屋の場合は最低でも60坪の広さが必要です。二階建てであれば、15坪ずつ階層を分けられるので、30坪あれば足ります。
※建ぺい率:土地の面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合
税金
土地や建物には、毎年、固定資産税が発生します。延床面積が同じ場合、一般的に平屋のほうが固定資産税は高めです。
平屋 | 二階建て |
二階建てより土地が広い 多くの資材を使う基礎や屋根の面積が大きい ▶固定資産税が高い | 平屋より土地が狭い 屋根や基礎の面積が小さい ▶固定資産税を抑えられる |
土地が広く基礎や屋根の面積が大きい平屋は、二階建てより資産価値が高いため、固定資産税も高くなるでしょう。
メンテナンス費用
一般的には、15~20年ごとに外壁や屋根の塗り替え費用がかかります。足場が必要な二階建てのほうが、トータルのメンテナンス費用は高い傾向です。
平屋 | 二階建て |
足場が不要 屋根面積が広い ▶メンテナンス費用は抑えられる | 足場が必要 外壁面積が広い ▶メンテナンス費用が高い |
二階にもトイレや洗面台を設置すると、その分のリフォーム費用もかかります。
2.快適性で比較
次の点を比較しましょう。
- 効率的な動線のつくりやすさ
- 日当たり・風通しのよさ
- 間取りの自由度の高さ
- プライバシーの保ちやすさ
順に解説します。
効率的な動線のつくりやすさ
平屋のほうが、生活や家事の動線を効率化できます。
平屋 | 二階建て |
動線をコンパクトに集約できる | 動線が複雑になりやすい |
平屋は、生活や家事の動線をコンパクトにまとめられます。平屋は階段の掃除もないため、家事の時間を省略しやすいでしょう。
フロアが上下に分かれる二階建ては動線が複雑になり、移動距離も長くなります。
たとえば、一階で洗った洗濯物を干すのに、階段を上がってベランダまで移動する手間がかかります。
日当たり・風通しのよさ
二階建てのほうが、日当たりや風通しを確保しやすいでしょう。
平屋 | 二階建て |
立地によっては光や風を取りこみにくい | 高い位置から光や風を取りこめる |
平屋は、近くに高い建物があると日当たりや風通しが悪くなるなど、周辺環境に左右されます。
家全体に光を取りこむには、勾配天井に天窓を設置したりコの字型の中庭を設けたりと、間取りを工夫する必要があります。
二階建ては高い位置に窓を設けられるので、住宅密集地でも光や風を取りこみやすいでしょう。
間取りの自由度の高さ
平屋のほうが、間取りの制限が少ない傾向です。
平屋 | 二階建て |
制限がなく自由に配置できる 階段スペースが不要 | 柱の位置によって間取りが制限される 階段スペースが必要 |
二階建ては上階を支える柱などを置く位置が決められるので、水回りや部屋の配置が制限されます。また、階段のスペースとして1.5畳ほどを間取りに組みこむ必要があります。
二階建てでは、さまざまな条件を満たしながら間取りを検討しなければなりません。
プライバシーの保ちやすさ
二階建てのほうが、個人のプライバシーを確保しやすいでしょう。
平屋 | 二階建て |
プライバシーを保ちにくい コミュニケーションをとりやすい | プライバシーを保ちやすい 間取りによってはふれ合いが減る |
平屋はリビングなどのパブリック空間と、居室などのプライベート空間がひとつのフロアにあるため、プライバシーを確保しにくいのがデメリットです。
個々のプライバシーを確保するには、リビングと個人の居室の間に廊下を設置したり収納スペースを挟んだりして、空間を分ける工夫が求められます。
二階建ては階層で区分しやすいので、二世帯でも快適に暮らせるでしょう。家族で顔を合わせる機会を増やすために、リビングに階段を設ける間取りも人気です。
3.安全性で比較
安全に暮らせるか、次の点をチェックしましょう。
- 空き巣の侵入リスク
- 災害による影響
- 転倒・転落のリスク
それぞれ解説します。
空き巣の侵入リスク
空き巣による侵入リスクは、平屋のほうが高めです。
平屋 | 二階建て |
侵入されやすい | 侵入を防ぎやすい |
警察庁のデータによると、窓から侵入されるケースが侵入被害全体の半数以上を占めており、一階に開口部の多い平屋は注意が必要です。
侵入経路になりやすい窓は、防犯性能の高いタイプを選んだり設置位置を高くしたりすると、リスクを下げられます。
防犯対策をしながら採光をするには、中庭を設置するのがおすすめです。
二階建ては、窓を高い場所に設置できるため、侵入されにくいでしょう。
参考:警察庁「住まいる防犯110番」
2.災害による影響
災害の種類によって、影響の大きさが異なります。
平屋 | 二階建て |
水害のとき二階に避難できない 揺れにくい | 水害のとき二階に避難できる 揺れやすい |
平屋は大雨などで一階が浸水したとき、二階に避難できません。
土地探しでは、国土交通省のハザードマップなどによる水害リスクの確認が不可欠です。
その一方で、平屋は建物が低く安定した構造であるため、地震や強風による揺れの影響は小さいでしょう。
二階建ては壁面積が大きいため、揺れやすく、耐震性は平屋より劣ります。揺れの影響を軽減させるには、負荷が家の壁全体にバランスよく配分される総二階(※)タイプがおすすめです。
※総二階:直方体や立方体で、一階と二階がほぼ同じつくりの住宅
3.転倒・転落のリスク
平屋のほうが、室内の事故のリスクは低いです。
平屋 | 二階建て |
段差が少なく転倒しにくい | 階段から転落するリスクがある |
平屋は段差による転倒や階段からの転落リスクは低く、バリアフリーにもできます。
階段を上り下りする負担もなく、小さい子どもや高齢者も安全に暮らせるでしょう。
二階建ては階段から転落する危険性があるため、小さい子どもや高齢者がいる世帯では、階段まわりにゲートをつけるなどの対策をしておくと安心です。
平屋と二階建てのおすすめケース5選
それぞれに適したケースを5つずつ紹介します。
- 平屋がおすすめのケース5選
- 二階建てがおすすめのケース5選
順に見ていきましょう。
1.平屋がおすすめのケース5選
平屋がおすすめなのは、次のケースです。
- 効率的な動線をつくりたい
- 上り下りの負担をなくしたい
- 地震による影響を減らしたい
- 家族のコミュニケーションを大事にしたい
- 居住空間をムダなく使いたい
動線をコンパクトにまとめて家事を効率的に進めたいなら、平屋がおすすめです。
家族で会話する機会を増やしたい人も、ワンフロアなら常に家族の存在を近くに感じられるでしょう。
2.二階建てがおすすめのケース5選
二階建てがおすすめなのは、次のケースです。
- 土地の広さがコンパクトである
- プライバシーを確保したい
- 予算が限られている
- 水害リスクが高い
- 二世帯で住みたい
限られた敷地で居住空間にゆとりをもちたい場合は、二階建てがおすすめです。狭小地でも、縦の空間を有効に活用すれば、開放感のある間取りになります。
平屋と二階建ての快適な間取り例2選
それぞれの間取り例を紹介します。
- プライバシーを確保した平屋の間取り例
- 家族がつながる二階建ての間取り例
順に解説します。
1.プライバシーを確保した平屋の間取り例
延床面積 | 109.31m2 (33.0坪) |
間取り | 4LDK |
家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
出典:SUUMO 建築実例
中庭を設けて、個人のプライバシーを確保した平屋です。
リビングと各居室の間に中庭があるので、パブリック空間とプライベート空間がしっかりと分けられています。
リビングの掃きだし窓は中庭に面しているので、防犯対策を施しながら十分に光も取りこめます。
水回りも1か所に集約され、ムダな移動もなく、家事を楽々進められる間取りです。
2.家族がつながる二階建ての間取り例
延床面積 | 147.34m2 (44.5坪) |
間取り | 4LDK |
家族構成 | 夫婦+子ども3人 |
出典:SUUMO 建築実例
2か所に吹き抜けが設けられた二階建てです。LDK・キッチン・パントリーは、ぐるりと回遊できるので、人数が多くてもスムーズに動けます。
リビングに階段があったり、吹き抜けで縦空間がつながっていたりと、家族の存在を近くに感じられる間取りです。
一階に衣類の収納スペースを設けると、洗濯の動線をさらに短くできるでしょう。
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